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測量を志す若人へ
 

3−20年越しの境界紛争が解決

入社して6年目、市立学校の用地測量を担当しました。既に学校が開設されて15年経過していましたが、学校敷地の元地主2名と買収価格評価で話し合いが付かず土地の移転登記は未処理のまま。その時期元地主の所有名義の学校敷地と市が所有し元地主へ移転予定の代替地に各々隣接して、国道の拡幅工事計画が始まり測量する必要が生じました。作業開始から色々ありましたが元地主2名の協力は得られましたが、一難去ってまた一難、代替地と国有地を挟んで隣接する他の地主さんがどうしても国有地の存在を認めません。

私としても諸資料の調査から本人の所有地は既存地積測量図と整合性はあり、公図上も無番地の国有畦畔があり、本人の主張は明らかに理不尽であり担当官と何回も足を運びましたが認めません。
国有地の管理官との境界立会いでは双方が感情的になり激論、話の仲裁にはいるのに一苦労し、当社の実測中にはホースで水を掛けられる始末でした。

業務はその部分を未解決のまま終結し、その後17年間に3回継続業務を受託し、その間の詳細は省略いたしますが境界画定はその都度不調に終わりました。今から2年前国道の拡張工事が完成し、公団も側道整備に伴う登記手続きを完了させる必要に迫られ、市も困り果てて私が以前から提案していた境界確定訴訟を提起することを決断致しました。
国有地の存在をめぐり市が国を相手とし、これを受けて国は隣接地主を相手として訴訟をするという珍しいケースです。
万一の事態にならぬよう慎重を期し、五つの関係当局と弁護士を交えた事前打ち合せを当社だけでも十数回行いました。これと平行して当社担当者が再実測をするため現地へ行きましたが不思議なことに隣接地主は以前と様子が違い、先方よりうちの社員に挨拶があったり、現地に行く毎に担当者から挨拶と世間話を心掛けるうち、役所の人には話せない様なことまで話してくれる様になりました。

裁判は予想どおり原告側(市)の主張が認められて簡単に結審し20年来の懸案があっけなく決着しました。隣接地主は一度も出頭せず、反訴もありませんでした。この仕事から私は用地測量の持つ特徴を学び、大変貴重な勉強をしました。

隣接地主のとった行動の真意は分かりませんが、物事には「時間が解決する」ことがあると言いますがこれなんか良い例かもしれません。正しいことでも状況によっては通用しないが、正しいこと(真実)を主張し続けることの大切さと、それが裁判により証明できた喜び。約20年越しの仕事が解決し安堵感があると同時に、役所の担当者が5回も交代するほど長期間わが社を継続指名してくれた発注者への感謝。最後の現場作業は直接担当しなかったものの、私も責任者として懸案の決着を担当できたことは発注者から評価を得た結果と自負したい。


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